中小事業者向け、マーケティング解説、入門編。
マーケティングと聞くと、フィリップ・コトラー氏とか、ピーター・ドラッカー氏とか、著名な学者やマーケターが色々な定義を発表されています。
そして、それらを目にする機会も多いですよね。
また、様々な学者、著者の解釈本も多数出版されています。
でもそれらの定義を読んでも、なるほど!と思いながらも…、
「でも、どう言う事?」って感じることが多いのも正直な感想ではないですか。
私も、そう感じている一人です。(笑)
また、「マーケティング」と検索して、Wikipediaを見ても、様々なブログ記事を見ても、中小企業の立場として「でも、どうしたら?」って、
言う感想も持つ方も多いのではないのでしょうか。
簡単に一言で話せるものでも無く、調べれば調べるほど、多くの定義や解釈があり、混乱して深みにはまってしまいますよね。
「マーケティング」と言う言葉は、本当に非常に広義な意味、諸説があります。
他編でも話しましたが、企業の規模やマーケティング施策での、プロセスやポジションごとの諸説もあり、様々な視点からも定義されています。
また、企業の業種や商品、サービスの内容によっても、また、対象とするマーケットの大きさや特徴、などによっても、マーケティングの諸説は変わってきます。
しかし、その根底は同様なことを述べているのではないでしょうか。
今回は、そんな胸中を少しでもスッキリして頂けると嬉しいな、との思いを込めて、私の経験を踏まえた、中小企業様向けの、マーケティングの解説・入門編をお話ししたいと思います。
コンテンツ
経験36年超の私見?「マーケティング」解説・入門編。
ここからは、私なりに経験から感じてきたことを元に、中小企業の皆様向けに、独自の解説をお話ししたいと思います。
実は私、大学中退なのです。しかも土木工学科。
ひょんなことから、この世界、広告関連企業に足を突っ込んでしまい、最初に小さな広告代理店に就職してここまで来てしまいました。
そして、7度の転職を繰り返して、現事業社、リップルを設立しました。
事実上、7社目で某代理店の机一つを借用して、設立準備をしながら個人事業主として創業していましたので、サラリーマンとしては、広告代理店を始め、制作プロダクション、イベント会社、ハウスエージェンシーなど、6社に籍を置いてきました。
バブル経済直前の昭和の時代から、バブル崩壊、リーマンショックを経験した平成を経過し、広告関連企業に従事した、その経験は実に36年を超えました。
そして、37年目に入ったこの年は、令和2年を迎える年となりました。
しかし、その割には、自分の成長の至らなさに、また、情報社会の発展の凄まじい速度に、まだまだ修学に翻弄されている今日この頃です。(笑)
この36年を超えるメディア環境の変革は、正直、予想を変える速度で発展していきました。
言うまでもなくマーケティング施策に対する環境も驚くほど変化しました。
まず、「マーケティング」をシンプルなイメージで括ってみましょう。
〘マーケティングとは〙
商品やサービスを、「創って」、「作って」、「売る」。
この繰り返し、サイクルをスムーズに行うために必要なそれぞれの施策を講じることをマーケティングの概要と解釈しても良いと思います。
自社の商品やサービスを「創る」。
つまり、商品やサービスの企画、開発をする。
そして、実際にその商品を「作る」。その製品を製造して製品化する。
次に、その商品やサービスを「売る」。消費者に提供、販売する。
このサイクルを繰り返していく中で、その過程で実施される、施策される一連の事業活動のことと解釈してよいと思います。
ただ、気をつけなければいけないのは、販売、セールスとマーケティングを混同してはいけません。
確かに、定義的に一部重なる点、リンクしている面もありますが、本質的には違う定義のものです。
セールス、販売を後押しするもの支援するものの一つと解釈するのはよいと思います。
「マーケティング」について、色々な会社のブログ記事などで解説を見ていると、リサーチ、広告宣伝、プロモーション、3Cや4P、市場、流通、ニーズやウォンツ、製品・価格、ブランディング、戦略、戦術、等々、キリがないくらいのワードを並べることができます。
それぞれがマーケティングなの?と勘違いしてしまう事もありますよね。
それらは、大体がマーケティング施策のプロセスを構成するコンテンツの一つであったり、分析の方法、作業の種類であったりします。
コミュニケーション段階による、「伝え方」の戦術手法は特に、Webマーケティングであるとか、○○○マーケティングであるとか、戦術で使用するメディアの特徴から、多くの☐☐☐マーケティングと言う言葉と定義が溢れています。
だから、余計と混乱してしまうのかもしれませんね。
「大綱的なマーケティング」定義と「施策プロセス的なマーケティング」定義を混同せずに分けて考えなければなりませんね。
因みに、あくまでも私の経験上の解釈です。
一つの意見として、ご了承ください。
基本のおさらい。「マーケティングとは」。
とは言っても、せめて基本的な定義くらいは、おさらいの意味を込めて、改めて掲載しておきましょう。
マーケティングの本場アメリカの定義と日本の定義をおさらいしておきましょう。
出典:ウィキペディア(Wikipedia)
〖アメリカ・マーケティング協会による2007年・マーケティングの定義〗
/抄訳
マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
〖日本マーケティング協会による1990年・マーケティングの定義〗
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
とあります。
日本マーケティング協会の定義では、営利を追求する企業のための活動だけでなく、自治体やNPOなどの非営利団体にも概念が適用できる事も定義に盛り込んでいるそうです。
解釈等も色々と記載されています。
参考までに、一度、検索してみてください。
上記のアメリカと日本の定義って、結構シンプルではありませんか。
マーケティングの定義は、特に中小企業での取り組みには、難しい言葉に翻弄される事なく、シンプルに考えていくべきだと思います。
自社の事業の中で、それぞれのプロセスごとで、課題や問題点の有無を検証、分析して改善していく。
検証、分析作業では、可能な限り深掘りしていき、検証された課題や問題点を「事実」と「意見・感情」に振り分け、具体的でシンプルなキーワードまで掘り下げて分析していくことがテーマです。
そして、それぞれの改善策を企画し、講じていき、自社の商品をスムーズに市場に届けて、事業目的を達成していく。
この一連の施策をマーケティングと考えても良いと思います。
検証や分析の仕方、目線、方法等が色々な定義や施策名として、訳が分からない多くのワードが飛び交うため、初心者には拒否反応やアレルギー反応を感じてしまうのが実情かもしれませんね。
特に、最初の思考の中で一気に、マーケティング「戦略論」だ「戦術論」だと考え始めると余計に混乱してしまします。
そもそも、戦略と戦術は最初に一同に考えるものではありません。
先ずは、課題や問題点を検証、分析した上で、更に自社の事業理念を踏まえた上で、戦略を考えるプロセスとしていきます。
そして、それらの情報と戦略を基に、各カテゴリーごとの問題解決策と目的、目標を明確にした上で、最適な戦術論を導き構築していきます。
Webマーケティングやインバウンド・マーケティング、マス・マーケティング、オンラインやオフライン・マーケティングなど、よく聞くマーケティングの施策名の数々ですね。
戦略、目的や目標、これらが整理されないうちに、マーケティングの戦術論へ意識を持っていくのは混乱を招く要因となります。
自社の「こと」。よくわかっていますか。
中小企業だけど、「マーケティングに取り組みたい」、「マーケティング力が弱い」、「売上が伸び悩んでいるのでマーケティングの必要性を感じている」など、その必要性を感じているならば、先ずは、自分?いや、自社のことを分析してみましょう。
事業目的達成のために理想とする課程をたどっていない、など、商品やサービスについて、対象とするお客様像について、社内の人材、体制、システム、等々について、それぞれのカテゴリーごとに、課題や問題点について、検証、分析してみましょう。
客観的に、可能な限り具体的に深掘りしてみましょう。
検証、分析した結果を「事実」と「感情・意見」に、ワードの単位まで掘り下げて、ディレクトリーコード的(階層的)に分析して可視化してみましょう。
プロセス全てが重要な情報ですが、その中でも「事実」に真意が隠れているかもしれません。
それぞれの課題、問題点の関連性を見極め、それぞれの意味づけ、意義づけを分析して整理してみましょう。
その上で、改めて「マーケティング」に関する書籍や情報をインプットしてみると、もっとそれらの情報が理解し易くなっていることに気が付くはずです。
人間でも自分の長所、短所は気が付きにくいものです。
真摯に客観的に自分のことを分析したり、反省したりしたことの一度や二度はありませんでしたか。
弱気になるのではなく、前向きに真摯に自社のことも検証、分析してみることから始めると、マーケティングのこともっとわかりやすいかもしれませんね。
メディアが発達、進化しても、経済行為をするのは人間です。
私が広告関連企業に従事して36年を超えました。
この間のメディア環境の変革、発展、進化は目覚ましく、予想をはるかに超えるものでした。
一瞬で情報は世界中を駆け巡り、個人としての情報発信も良きにつけ、悪しきにつけ、その情報発信力は大きな力を得ることになりました。
バーチャル感覚で目に見えない相手に情報発信が可能になり、時には弱い個人を無意識に、意識的にも傷つけてしまうような時代にもなりました。
マスメディアを中心としたオフライン時代では、メディアは発信する情報の裏付けを取り発信していました。
この理念は今も変わりませんが、時として、軽率な時も目立ちますが…。
企業も広報や広告として情報発信する場合には、多くの企業は真摯に誠意を持って、慎重に情報を発信していました。
この理念も今も変わらないと思いますが。
インターネットというオンラインメディアが発達してきた現代、受けた情報の信憑性、信頼性を判断するのは、原則、情報を受け取った本人個人が判断しなければなりません。
こんな現代では、情報のリテラシーを個々がより一層、磨かなければならない時代になっています。
技術の発達、進化がもたらす利便性は、なんでも効率的に、即日的にできてしまうような錯覚を覚えますが、これは、あくまでも手段の一つであり、利用の仕方、適切性を考えるのは、情報を発信する人間です。
経済活動、経済行為の主役は人間です。
技術の進化は利用するものであり、手段であり目的ではありません。
マーケティング施策そのものの本質は、いつの時代でも変わるものではありません。
検証、分析によって整理された情報から導かれた、マーケティング戦略を物差しにして、戦術を構築して情報を発信する。
利用する技術、メディアが目的化することなく、「何を」、「どんなコンテンツを」、どんな情報を発信して行くのか、「伝えること」が重要であり、テーマであることを意識してください。
様々なマーケティングの情報をインプットしていこうとする時、世の中に発信されている情報の大半は、マーケティングを施策しようとしている企業は既に、自社の発信したい「コンテンツ」、情報が受け手側で整理されていると言う前提でインプット情報が供給されています。
しかし、特に中小企業では、その自社の発信したい情報、「コンテンツ」が整理されていないのが実情ではないかと推察しています。
そこに、マーケティングを難しく考えてしまう、混乱してしまう実情もあるのではないかと感じています。
まとめ
中小企業として自社のマーケティングを考える時、導入を考えたい時、
先ずは自社の課題や問題点について、それぞれのカテゴリーごとに、
検証、分析することから始めましょう。
できる限り具体的に、ワードの単位まで深掘りして掘り下げていき、
整理して、可視化することから始めましょう。
対象とする相手は、あくまでも人です。
「伝えたいこと」、「共感して欲しいこと」、「貢献したいこと」を明確に整理してから、課題解決、問題解決それぞれの目的、目標を示してから、○○○マーケティングなど、施策構築、戦術論を導いていきましょう。
手段を考えるのは、それからでも遅くありません。
手段ありきで考える必要もありません。
導いた戦術論から、Webマーケティングなどの手段、採用する施策を考えればいいのです。
キーワードは、「シンプルに」。
トライしても、自信が無い時は、マーケティングのコンサルタントなどにアドバイスを受けるのも、効率的なことも含めて、コストパフォーマンスは高いものとなります。
2020.09
この記事を書いた人
- 古野 徹
- 株式会社リップル
代表取締役
マーケティング・コンサルタント
広告関連企業8社に従事して36年超。
ありとあらゆる業務を経験してきたノウハウを活かし、総合広告代理店、㈱リップルを設立する。
創業15周年の通過点に向けて、新規事業として、中小企業を対象とした、「マーケティングに関するコンサルティング事業」サービスの提供を開業。
「心を大切にコンサルティングします。」を新たな基本理念に加え、
どうやって、集客していくのか、
どうやって、売り上げを伸ばしていくのか、
どうやって、新たなお客さんやサプライヤーと繋がっていくのか、
どうやって、人財を確保していくのか、
どうやって、災害や緊急事態に対応していくのか、等々、
益々、社会での存在意義を示していくことが重要な課題になってきている中小企業に対して、わかっているようで、わかっていない「マーケティング」、今更、聞くに聞けない「マーケティング」の事など、総合的なマーケティング活動の施策支援のサービスが提供できるように、絶えず精進を続けている。
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